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ANM176ヒト試験連絡会
ANM176ヒト試験連絡会とは ANM176®とは ANM176®開発の経緯 ANM176®はアルツハイマー病に有効か? ANM176®の臨床試験
ANM176®の試験結果概要
なぜANM176®はアルツハイマー病に有効かの考察 ANM176®は医薬品か? 次の試験計画 ANM176ヒト試験連絡会の無断引用について ANM176®臨床試験報告(PDF)
ANM176ヒト試験連絡会とは
「ANM176ヒト試験連絡会」は、韓国のバイオベンチャーであるサイジェニック社(Scigenic Co.,Ltd / ソウル市) が開発したフェルラ酸とガーデンアンゼリカ根抽出物製剤ANM176®がアルツハイマー病等の神経変性疾患に有効か否かを臨床で試験することを通して、この疾患の医療に貢献し、高齢化社会における高齢者の生活に寄与することを目的とする認知症専門医とその関係者によって組織された団体です。

ANM176®とは
ANM176®の開発は、韓国の春川市にある翰林大学生薬研究所(Hallym University Institute of Natural Medicine) が行った研究から始まりました。
その研究は、アルツハイマー病の原因物質といわれるβアミロイドたんぱく質(beta-amyloid protein、以下「Aβ」といいます)が低下させるネズミの学習や記憶力を抑制できる物質を、漢方で古くから「物忘れ」に効果があるといわれていた植物の中から探索することでした。
ネズミの脳内に微量のAβを注入すると記憶や学習力が低下することはすでに知られていました。 このAβが記憶や学習力を低下させる作用をAβ神経毒性といいます。
翰林大学が行った研究の優れたところは、Aβ神経毒性を抑制する物質を漢方成分の中から見つけただけでなく、その抑制力の強弱を比較したことでした。
その結果、漢方で当帰(トウキ)といわれるシシウド属の植物の中に含まれるフェルラ酸とクマリン化合物が最も効率よくAβ神経毒性を抑制することが分かりました。
また、これらの物質はAβ神経毒性を抑制する相乗効果があることも分かりました。
フェルラ酸はどんな植物にも含まれている物質ですが、クマリン化合物はトウキの種類や部位によって、また気候や土地によっても含量が大きく異なることが知られています。
この翰林大学の一連の研究をもとにサイジェニック社は「物忘れ」やアルツハイマー病の予防・改善用の製剤ANM176®を開発しました。

ANM176®開発の経緯 
ANM176®が開発される以前に、韓国トウキ(Angelica gigas nakai ) の抽出物製剤INM®176が臨床試験で、アルツハイマー病患者のアルツハイマー病用心理テストADAS-cog (Alzheimer's Disease Assessment Scale-Cognitive subscale) 評価を改善することが示されていました。
当初、INM®176は韓国内でアルツハイマー病の予防改善用の機能性食品として販売され、現在はアルツハイマー病用医薬品としての準備が進められています。
また米国では、INM®176はサプリメントとして大手のドラッグチェーンで販売されています。
一方、日本では、漢方のトウキに該当する韓国トウキを原料としているINM®176は医薬用に分類されサプリメント用としては販売できません。
そこでシシウド属で唯一、食品として認められているガーデンアンゼリカを原料として検討しました。
ところがガーデンアンゼリカにはフェルラ酸含量がすくなかったため、ガーデンアンゼリカ根抽出物にフェルラ酸が加えられたANM176®が開発されました。
ネズミを用いた試験でANM176®のAβ神経毒性抑制力は、INM®176に勝るとも劣らないことが確認されました。
ガーデンアンゼリカ根にはINM®176に使われている韓国トウキ根と同様に、クマリン化合物が含まれますが、ANM176®に配合されたガーデンアンゼリカは、その根からAβ神経毒性の抑制力を損なわないように抽出し含量のバラつきを調整したものです。
サイジェニック社は、ガーデンアンゼリカを含めシシウド属に含まれる成分をアルツハイマー病の予防や改善を目的として使用することを、日本を含め世界各国に特許申請しました。

ANM176®はアルツハイマー病に有効か?
ネズミの試験でAβの神経毒性を抑制しても、一時的なAβ神経毒性を見ているだけで、長期間にわたり徐々に進行するアルツハイマー病に有効とはいえません。
ANM176®がアルツハイマー病に有効かを確かめるにあたり、岡山県にある「きのこエスポアール病院」院長、佐々木健先生がANM176®の確認試験に応じてくれました。
試験を引き受けていただけたのは、アルツハイマー病に対して有効な改善医療がない現状で、可能性のある提案を真摯に受け止めるのが医療従事者の義務である、との佐々木先生の医療精神によるものでした。
2005年秋から佐々木先生を外来で訪れ、試験に同意した10名のアルツハイマー病患者を対象にANM176®の試験が行われ、6ヵ月間の試験を最後まで行った9名の患者の3ヵ月ごとに評価したADAS-Jcog(ADAS-cog日本語版)推移から、ANM176®によるアルツハイマー病の進行を抑制する効果が予測されました。
また、ドネペジルを1年以上使用して効果がはっきりしなくなった患者に対しても、ANM176®を併用すると再び改善する可能性も予見されました。

ANM176®の臨床試験  
「きのこエスポアール病院」で行った試験で、ANM176®にアルツハイマー病を改善できる可能性が確認されたため、全国から認知症専門医の参加を募り、試験する患者数を増やして本格的な臨床試験を行うことになりました。
9名の専門医が応募され以下の2つの目的と試験方法が決められました。
  1. ANM176®はアルツハイマー病の進行程度に対してどのような効果があるか
  2. ドネペジルの効果が顕著でなくなった後にANM176®を併用した場合の効果はどうか
また、この試験を支援し、試験に参加された専門医の権利を守り、対外的な窓口機能を果たす 「ANM176ヒト試験連絡会」が結成されました。
広島大学名誉教授の中村重信先生と国立長寿医療センターの遠藤英俊先生にはアドバイザー役をお願いし、試験計画の立案・作成や試験実施における諸問題を指導していただきました。
また、専門誌への投稿や様々なシンポジウムでの発表は中村重信先生にお世話になりました。

ANM176®の試験結果概要 
2007年2月から8月まで試験に参加した専門医を外来で訪れCDRが1か2で、DSM−W、NINCDS-ADRDAの方法でアルツハイマー病と診断された患者の中から、以下の条件に当てはまった143名を対象としました。
  • ドネペジルで既に治療している場合は、ドネペジル使用後1年以上が経過して効果が顕著でないと判断される。
  • 適切な服用を介助できる介護者がいる。
  • この試験結果が学術的な目的で使用されることに同意している。

この試験の目的から、患者の中には重症のアルツハイマー病患者も含まれ、偽薬を使用することはヘルシンキ条約に盛られた倫理問題があると判断されたため、二重盲検は行わずオープン試験で評価することとなりました。
被験者はANM176®を毎日朝晩それぞれ300mgずつ9ヵ月間にわたり使用し、3ヵ月ごとにMMSE(Mini Mental State Examination)およびADAS-Jcogで評価しました。
試験に参加した患者で全試験期間ADAS-Jcog評価をしたのは女77、男21の98例でした。
オープン試験であったため、同一患者の使用前と9ヵ月後の比較を行い、また、進行程度、ドネペジル
併用・非併用ならびに発症年齢が65歳より前・後の群間比較を行いました。
その結果は以下の通りです。(  )内は悪化抑制率
  1. 9ヵ月後の評価が開始時と同じか改善している患者はANM176®単独使用の場合は19例中11例(58%)、ドネペジルと併用した場合は79例中33例(42%)で全体では98例中44例(45%)でした。
  2. ANM176®単独使用とドネペジルを併用した群におけるADAS-Jcog評価総合点の平均値の推移は、3、6、9ヵ月目のいずれの検査時においてもANM176®単独使用の場合がドネペジルを併用した場合より低い値でした。P<0.014
  3. 試験開始時のADAS-Jcog評価総合点が20未満(軽度)、20−29.9(中度)、30以上(重度)でADの進行程度を分け、それぞれの群におけるADAS-Jcog評価総合点の推移を比較した結果、進行程度が軽いほどANM176®が有効な傾向でした。 P=0.019
  4. 65歳前から発病した若年性ADより65歳以降に発病した高齢型ADほどANM176®が有効な傾向でした。 p=0.027
  5. どの症例においてもADAS-Jcog総得点の平均値は、「米国アルツハイマー病における健康と経済の評議委員会」(Assessment of Health Economics in Alzheimer‘s Disease/AHEAD)が採用しているAD患者仮説モデルやドネペジル使用1年以上を経過した場合の進行推移と比較して進行が抑制されていました。
  6. MMSE評価で解析してもADAS-Jcog評価と同じ傾向でした。
  7. また、3症例で優位差としては示せませんでしたが、軽度認知障害(mild cognitive、以下、MCI)を改善する効果も示唆されました。

この試験は、2008年6月にすべて終了し、富山大学大学院医学薬学研究部教授の折笠秀樹先生に統計面でのご指導をいただき、老年医学誌“Geriatric Medicine” の2008年12月号に発表しました。
ここをクリックすると論文の全文が参照できます。

なぜANM176®はアルツハイマー病に有効かの考察 
ANM176®は通常なら食品で摂りうるレベルのフェルラ酸と常識的な量のガーデンアンゼリカ根から抽出した成分を配合したものですが、そんな通常の物質で常識的なレベルでも、なぜAβ神経毒性を抑制する効果が高く、アルツハイマー病の悪化を抑制し、もしくは認知機能を改善する効果があるのでしょうか。 高齢者の脳内に存在し得るレベルのAβがなぜ神経毒性を示し、アルツハイマー病がどのようにして起こるのかがいまだ充分に解明されていない現在では、ANM176®のこれらの作用を説明することはできません。
あえて推察しますと、ANM176®は次のような作用によってアルツハイマー病に効果を発揮すると考えられます。 脳内では、細胞外のAβは様々な仕組みや方法で分解されていますが、分解が遅れると2〜3分子が集まったオリゴマーになって神経毒性を示し、さらに繊維化して神経細胞の脱落に進むと考えられています。 オリゴマーや繊維化したAβは、除去機能を備えたミクログリア細胞が取り込んで一部はエンドソーム / リソソームシステムでアミノ酸に分解され、繊維化したAβはペルオキシソームという細胞内器官に取り込まれると考えられます。 通常なら、Aβを取り込んだペルオキシソームはAβを抱き込んだままオートファジーという方法で分解されAβが繊維化していても毒性を示さないと考えられます。
一方、ペルオキシソームは特定の物質によって増殖し、この増殖にANM176®が関与している可能性があります。
またフェルラ酸は、ペルオキシソームの中で行われている酸化反応を増強することが推測されます。フェルラ酸はどんな物質にも含まれていると前述しましたが、そのほとんどは植物細胞壁にあってセルロースと強固な結合をしています。セルロースと結合したフェルラ酸はヒトの消化器官では吸収することはできません。
ところが、米や小麦など一部の穀類のヌカ部分には、ヒトでも吸収できるフェルラ酸が大量に含まれて
います。
しかし現代では、ヌカ部分を完全に取り除いた白米や精白小麦粉を食べ、果物の一部にはヒトで吸収できるフェルラ酸がありますが、その量は米に含まれる量の何分の1かです。
牛肉や乳製品でもフェルラ酸が補給できると考えられますが、高齢になって肉類や乳製品から遠ざかっているとフェルラ酸が不足し、ミクログリア細胞内のペルオキシソームの増殖が進まず異物の分解能力も低下し、炎症性サイトカインの分泌を促進し、Aβによる神経毒性が現出し、さらに神経細胞のアポトーシスも惹き起して、高齢になって発病するアルツハイマー型認知症を発症すると推察されます。
ANM176®は、ペルオキシソームを増殖させ、異物の分解を助け、Aβによる新たな炎症を惹き起さないばかりでなく、すでに起こしている炎症を終息させ、アルツハイマー病の進行を抑制し、認知機能を改善するのではないかと考えられます。
ANM176®のアルツハイマー病に対する効果についての詳細は、「アルチーマ普及会」のホームページにリンクされている「ANM176®はどのようにして認知症を予防し、改善するか?」をご参照ください。

ANM176®は医薬品か? 
ANM176®がアルツハイマー病の進行を抑制し改善するとしても、その成分は、本来は食品で摂り得るものであり医薬品に位置づけることはできないと考えています。
かつてビタミンCやビタミンB1の欠乏で起こる壊血病や脚気は重大な病気でした。 しかし、その原因が分かって食事で充分補給することができるようになった今日では、壊血病や脚気はほとんど見られなくなりました。 このように、ビタミンCやビタミンB1は食事で補給するのが自然です。
高齢になって発病するアルツハイマー型認知症患者は300万人を超える勢いで増加しており、現在では大きな社会問題になっています。 この原因が食事によるということが明らかになれば、認知症の医療やその患者に大きな福音となることは論を待つまでもありません。
ANM176®の効果をさらに大規模な試験で明らかにすることに大きな意義があると確信しています。

次の試験計画  
今回行った臨床試験の結果、ANM176®はアルツハイマー病が軽度ほど効果があることが示されました。
この試験では重症患者も含まれていたため二重盲検試験ができませんでしたが、改めて、中・軽度の患者を対象に二重盲検試験をすることに意義があると、2009年2月8日に名古屋で開催された 「ANM176ヒト試験連絡会」で確認されました。
また、今回の試験で少数例ながらMCIにも効果があることが示唆され、MCIに対する効果も試験方法を工夫しチャレンジすることになりました。
次回の試験では、試験に参加する専門医をさらに広く募り、中・軽度のアルツハイマー患者とMCIを対象とした大規模なオープン試験を計画中です。

ANM176ヒト試験連絡会の無断引用について  
老年医学誌“Geriatric Medicine” の2008年12月号に発表したANM176®の試験は、以下に記した
「ANM 176ヒト試験連絡会」の11名の先生よって行われました。
阿瀬川 孝治:医療法人三精会 汐入メンタルクリニック
伊丹 昭:医療法人三精会 汐入メンタルクリニック
伊藤 達彦:福井県立すこやかシルバー病院
遠藤 英俊:国立長寿医療センター
清原 龍夫:医療法人長寿会 清原龍内科
河野 和彦:特定医療法人共和会 共和病院
佐々木 健:きのこエスポアール病院
中村 重信:洛和会京都臨床治験センター
松田 桜子:医療法人明和会 琵琶湖病院
水野 裕:特定医療法人杏嶺会 いまいせ心療センター
宮原 覚:宮原医院

最近、インターネット等で本会や本会に参加した会員の情報が無断で引用されています。
「きのこエスポアール病院」で行った前試験はあくまでANM176®の効果を確認するためANM176®を配合した「アルチーマ-J」で行った試験で公開されるものではありませんが、他の商品である「フェルガード」で行ったかのように改編に作成され、インターネット上にアップされています。
これら不当な行為は著作権や発明権の侵害です。
試験に使用したANM176®はサイジェニック社が品質を保証し提供したものを株式会社エイワイシーが日本タブレット株式会社で試験に適した剤型に加工させた製品、「ANM176顆粒」です。
単にフェルラ酸とガーデンアンゼリカ抽出物を配合してもANM176®と同じ物にはなりません。
また他の配合剤がANM176®で行った試験と同じ効果があるかは証明されておりません。
ANM176®を使用した製品「ANM176顆粒」、「アルチーマ‐J」、「アルチーマ60C」、「アルチーマ360C」、「アルチーマ180S」以外は本会とは無関係で、無断で本会の権利を侵害している場合は法律に則り処置を講じます。

連絡先
ANM176ヒト試験連絡会 事務局
〒367-0031埼玉県本庄市北堀1470-4
  電話番号: 0495-23-2037
MAIL:office@anm176.com
2009/6/21(2013/9/20 一部改訂)


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