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アルツハイマー病とは

アルツハイマー病(Alzheimer′s Disease)は、1907年に、ドイツの精神科医アルツハイマー博士が初めて報告した認知症です。
アルツハイマー博士が報告した患者は51歳で発病した早発性の認知症で、遺伝性であったと言われています。遺伝性アルツハイマー病は、40歳代からでも発症することがある早発性で、βアミロイドたんぱく質(beta-amyloid protein、以下「Aβ」と言う)といわれる小さなタンパク質に関係する遺伝子の変異があります。
このようなAβ関連の遺伝子変異がある家族性のアルツハイマー病患者数は、全アルツハイマー病の数%にすぎず1)、ほとんどのアルツハイマー病患者はAβ関連の遺伝子変異がない孤発性です。遺伝子にAβ関連の変異がなくても、脳内のAβ濃度が増加し、そのほとんどは65歳以上の高齢になってルツハイマー病と似ている認知症を発病するため、老年性アルツハイマー型認知症(Senile Dementia of Alzheimer′s Type、以下「SDAT」と言う)とも呼ばれています2)。以下では、遺伝性のアルツハイマー病と老年性アルツハイマー型認知症を合わせてアルツハイマー病と呼びます。
一般に認知症とは、記憶や認知機能の知的活動に異常が生じた病気の全般を言い、アルツハイマー病に限りません。
厚労省の資料によると平成24年には462万人が認知症であったと報告されていますが、その中の312万人がアルツハイマー病で、その次に多かったのは血管性認知症でした。
血管性認知症は、脳梗塞や脳溢血などによる脳の損傷が原因で起こる認知症ですが、健康管理が行き渡るに伴って年々減少しています。一方、アルツハイマー病は年々増加しています。
このアルツハイマー病の増加は、社会の高齢化だけでは説明できません。
アルツハイマー病になると家族の名前を忘れたり、ついさっきのことを全く覚えていなかったりなど記憶力が正常でなくなるだけでなく、自分の状況も分からなくなり、徘徊したり、玄関や押し入れなど思わぬところで排泄をしたり、など異常な行動をすることがよくあります。アルツハイマー病で、こうした異常な行動が起こるのは、記憶や認知機能は少しずつ悪化しますが、運動機能や自律神経系は、終末期を除くと比較的正常に保たれているからです。
しかし、終末期では自律神経系にも影響がおよび、最後は寝たきりになって死を迎えます。

●参考文献

  • 1) Beck JA, Poulter M, Campbell TA, Uphill JB, Adamson G, Geddes JF, Revesz T, Davis MB, Wood NW, Collinge J, Tabrizi SJ [Somatic and germline mosaicism in sporadic early-onset Alzheimer's disease] Hum. Mol. Genet. (2004) 13:1219–24
  • 2) 伏木 信次 [アルツハイマー病の分子病態] 松仁会医学誌 (2003年) 42巻 2号97-109ページ